フォームでデバイスに依存したイベントハンドラが使用されています
JIS 5.3 a); WCAG 9.3;
 
 
概要

Webページに、デバイスに依存した特定のイベントハンドラを指定している button、input、select、あるいは textarea要素があります(すなわち、特定の入力デバイスで発生するイベントだけに対応しています)。

 
 
修正/チェック方法

一般的に、フォームにあるイベントハンドラを以下のように置き換えるのがベストです。

  • input要素(type=submit、type=reset、または、type=image)あるいは button要素では、onClick、onDblClick、onKeyPress、onKeydown、onKeyup、onMousedown、onMouseup といったイベントハンドラを削除して、フォーム全体にわたって、onReset(type=reset の場合)、あるいはonSubmitに置き換える。
  • チェックボックスおよびラジオボタンでは、onClick、onDblClick、onKeyPress、onKeydown、onKeyup、onMousedown、onMouseup といったイベントハンドラを削除して、ラジオボタンあるいはチェックボックスにonChangeを追加する。
  • テキストフィールドでは、onClick、onDblClick、onMousedown、onMouseup といったイベントハンドラをonFocusに置き換える。
  • select要素のリストでは、onClick、onDblClick、onMousedown、onMouseup といったイベントハンドラをonChangeに置き換える。
 
 
修正/チェックのポイント

入力装置は多くの種類があります。特定の入力装置のみに対応したコンテンツを作成すると、他の入力装置の利用者が、操作できないことがあります。

例えば、視覚に障害のある利用者は、マウスポインタの位置を把握することが困難なため、マウスではなく、キーボードだけを使う場合があります。
また、上肢障害や手の震えにより、マウスを操作することが困難な利用者もいます。

  • 一般的なブラウザで、以下のキーボード操作を可能にする。
    • 「上矢印」「下矢印」キーによる画面スクロールを可能にする。
    • 「Tab」キーによるキーボード・フォーカスの移動を可能にする。
      全てのリンク及び入力項目に、正しい順序で移動できるようにする。
    • キーボード・フォーカスの存在するリンクやコマンドは、「Enter」キーを押すまで、実行しない。
  • 特に、次に示す JavaScript は、マウスでの操作を前提にしているため、キーボードでの操作の可否に注意する。
    onClick、onDblClick、onMousedown、onMouseup、onMouseover、onMouseout、onDragDrop、onChange
    (例えば、onMouseoverだけで、メニューを表示する場合、キーボードの利用者は、メニュー内のリンクを選択できないことがある。)
  • プラグインが改善され、キーボードでの操作性が向上する場合がある。
    最新のプラグインをインストールできるように、コンテンツ側で、配慮することが望ましい。

『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針 第2.0版』 © 2004 富士通株式会社

 
 
JIS関連項目

5.3 操作及び入力
a)
ウェブコンテンツは,特定の単一のデバイスによる操作に依存せず,少なくともキーボードによってすべての操作が可能でなければならない。
参考 マウスの操作が困難なときでも,キーボードであれば操作が可能な場合がある。
参考 マウスポインタが見えない,又は見失ってしまうためにマウス操作が困難なときでも,キーボードであれば操作が可能な場合がある。

JIS X 8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』(© 財団法人 日本規格協会)

 
 
解説

Webページが提供するユーザー・インターフェースは、身体障害、認知障害、あるいは技術上の障害の有無に関係なく、誰もが認知できて操作可能でなければなりません。特に、デバイスに依存してはいけません。フォームのあるWebページにおいては、きわめて重要です。

W3C/WAI の WCAG 1.0( &url_wcag10;#device-independent&wcag;)で定義されているように、"デバイス非依存" というのは、ユーザーが自分のニーズに応じて選択した入力および出力デバイスを使用して Web サイトを操作できることを指します。入力デバイスには、ポインティング・デバイス(マウスなど)、キーボード、点字入力デバイス、ヘッドセット装置、マイクロホン、その他があります。出力デバイスとしては、モニタ、音声合成装置、および点字ピンディスプレイなどが挙げられます。

"デバイス非依存のサポート" というのは、ブラウザがあらゆる入力あるいは出力デバイスをサポートしなければならないという意味ではありません。ブラウザは、サポートされているデバイスでの入力および出力のメカニズムを特定のデバイスに偏らずに提供すべきだということです。例えば、もし、ブラウザがキーボードおよびマウスの入力をサポートしていれば、ユーザーはキーボードあるいはマウスのどちらを使用してもすべての機能を操作できます。

デバイスに依存しないアクセスというのは、ユーザーがブラウザ、あるいは任意の入力(あるいは、出力)デバイスでドキュメントを操作・入力できるという意味です。例えば、もし、フォームのコントロールが、マウスあるいは他のポインティング・デバイスでしか操作できなかったとしたら、画面を見ずに操作している人、音声認識による入力で操作している人、あるいはキーボードのみで操作している人などは、そのフォームを使用することができません。マウスでしか使用できないそのフォームは、デバイス依存の一例です。

一般的に、キーボードのみによる操作が可能なWebページは、音声認識入力あるいはコマンドライン・インターフェースを用いてもアクセシブルです。

 
 
JIS X 8341-3について

JIS X 8341-3 の内容は、以下のサイトにて規格番号「X8341-3」で検索して、規格票をご覧ください。

  • 閲覧:日本工業標準調査会(JISC)
    http://www.jisc.go.jp/
  • 購入:日本規格協会(JSA Web Store)
    http://www.webstore.jsa.or.jp/