スクリプトはアクセシブルですか?
JIS 5.1 b), 5.4 e); WCAG 6.2, 8.1, 9.2, 9.3; 508条 (l)
 
 
概要

Webページに、ページのコンテンツあるいはナビゲーションの選択肢を変化させるために用いられていて、おそらくWebページのアクセシビリティを低下させる、スクリプト、プラグイン、あるいはアプレットのようなオブジェクトがあります。

 
 
修正/チェック方法

アクセシブルではないオブジェクトとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • ロールオーバー
  • メニューの選択肢を提供するスクリプト
  • キーボード以外のデバイスにより起動するイベントハンドラのスクリプト
  • Flash、Shockwave、RealAudio、そしてRealVideo
  • Javaアプレット

Webページにあるオブジェクトが、Webページ上の他のテキストでは入手不可能な情報、あるいは操作の選択肢を提供していないかどうかをチェックしてください。

もし、そのスクリプトをアクセシブルにできない場合、その解決法の一つは、代替となる同等のコンテンツおよびインタラクションを提供するnoscriptタグを用いることです。

クライアントサイドのスクリプトを、同等な役割を果たすサーバサイドのスクリプトに変更することも考えてください。この場合、スクリプトがアクセシブルなWebページを生成するように、スクリプトをコーディングしなければなりません。

 
 
修正/チェックのポイント

特定の技術やプラグインの中には、アクセシブルな配慮のないものがあります。
また、特定の技術やプラグインに、アクセシビリティの機能が存在しても、障害のある利用者や高齢者は、内容を把握し、操作することができない場合があります。

アクセシビリティの機能を有効にするため、コンテンツ作成時にも、いくつかの配慮を行うことが必要です。

動画やオーディオだけで、コンテンツを作成した場合、コンテンツ内の必要な情報を一部分だけ参照したり、印刷することが困難になる場合があります。
HTMLで表現すべき情報を、プラグイン技術や動画、オーディオで表現すると、アクセシビリティを充分確保できないだけでなく、利用者に充分なメリットを提供できない場合があります。

  • 特定の技術やプラグインは、以下の機能を提供できるものを利用することが望ましい。
    • 文字サイズなどを拡大・縮小して表示できること。
    • 音声ブラウザなどで、音声読み上げを行えること。
    • マウス以外の入力装置(キーボード)で、すべての操作を行えること。
  • 特定の技術やプラグインに対応したコンテンツを作成する場合は、それらの技術やプラグインのアクセシビリティ機能を、最大限活用できるように作成する。
  • プラグインのアクセシビリティは、プラグインの提供者によって、改善されることがある。利用者が最新のプラグインをインストールできるように配慮しておくことが望ましい(例えば、最新版を自動的にダウンロードできるように、HTMLを作成する など)。
  • コンテンツの利用方法を充分に考慮し、適切な表現方法を採用する。

『富士通ウェブ・アクセシビリティ指針 第2.0版』 © 2004 富士通株式会社

 
 
JIS関連項目

5.1 規格及び仕様
b)
ウェブコンテンツには,アクセス可能なオブジェクトなどの技術を使うことが望ましい。

5.4 非テキスト情報
e)
アクセス可能ではないオブジェクト,プログラムなどには,利用者がその内容を的確に理解し操作できるようにテキストなどの代替情報を提供しなければならない。また,アクセス可能なオブジェクト又はプログラムに対しても,内容を説明するテキストなどを提供することが望ましい。

JIS X 8341-3:2004『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』(© 財団法人 日本規格協会)

 
 
解説

オブジェクトは、Webページの表現、コンテンツ、そしてナビゲーションの選択肢を変更することができます。もし、これらの変化が支援技術で読み上げ可能なテキストと関連付けられていなければ、そのWebページはアクセシブルではありません。例えば、テキストリンクによって選択肢を提供せずに、スクリプトを用いてWebページのメニューの選択肢を表示することは、そのWebページをアクセシブルではないものにしてしまうでしょう。

これに関連した考え方に "デバイス非依存" というのがあります。W3CのWAI(Web Accessibility Initiative)が定義しているように (http://www.w3.org/TR/WAI-WEBCONTENT/#device-independent を参照)、ユーザーが自分のニーズに応じて選択した入力および出力デバイスを使って、Webサイトを操作できなければならないという意味です。入力デバイスには、ポインティング・デバイス(マウスなど)、キーボード、点字入力デバイス、ヘッドセット装置、マイクロホン、その他があります。出力デバイスとしては、モニタ、音声合成装置、および点字ピンディスプレイなどが挙げられます。

"デバイス非依存サポート" は、ブラウザがあらゆる入出力デバイスをサポートしなければならないという意味ではありません。ブラウザは、そういったサポートされているデバイスへの入力および出力の豊富なメカニズムを提供すべきだということです。例えば、もし、ブラウザがキーボードおよびマウスの入力をサポートしていれば、ユーザーはキーボードあるいはマウスのどちらかを使ってすべての機能を操作できるはずです。

デバイス非依存のアクセスというのは、ユーザーは任意の入力(あるいは出力)デバイスでユーザーエージェントあるいはドキュメントを操作できることを指します。例えば、もし、フォームのコントロールがマウスあるいは他のポインティング・デバイスでのみ実行できるとしたら、全盲の人、音声認識入力を使用している人、あるいはキーボードのみを使用している人などは、そのフォームを利用することができないでしょう。そのフォームはマウスを使わないと利用できないので、デバイス依存の一例と言えます。

一般的に、キーボードのみによる操作が可能なWebページは、音声認識入力あるいはコマンドライン・インターフェースを用いてもアクセシブルです。

 
 
JIS X 8341-3について

JIS X 8341-3 の内容は、以下のサイトにて規格番号「X8341-3」で検索して、規格票をご覧ください。

  • 閲覧:日本工業標準調査会(JISC)
    http://www.jisc.go.jp/
  • 購入:日本規格協会(JSA Web Store)
    http://www.webstore.jsa.or.jp/